経営会議の前に、いつも試算表を「なんとなく」しか見ていなかった

Web制作会社で働いている自分は、毎月10日前後に届く試算表をひととおり眺めて、代表に「先月と大きく変わったところはないですね」と報告するだけの月が続いていた。

正直に言うと、数字は読めるが「なぜそうなったか」まで自分の頭で追う余裕がなかった。売上・原価・販管費の勘定科目が並んでいても、先月と今月を横に並べて差分を目で探すだけで一苦労だし、外注費や消耗品費のような細かい科目の増減理由は、結局経理担当に聞きに行くまで分からない。

試算表、見てはいるけど「読んで」はいなかったんだよな

そんな中、マネーフォワード クラウド会計がMCP(Model Context Protocol)経由でAIから会計データを扱えるようになってきていると知った。ClaudeのようなAIエージェントに、自然言語で「先月と今月の試算表を比べて、変化が大きい科目を教えて」と聞けるらしい。経営会議の準備が変わるかもしれないと思い、実際に試してみることにした。

マネーフォワードとClaudeをつないでみる

用意するもの

  • マネーフォワード クラウド会計(法人向けプラン)のアカウント
  • Claude Desktop(またはClaude Code)
  • 会社のアカウントでログインできる権限

接続手順(自分がやった範囲)

  1. マネーフォワード クラウド会計の管理画面から、外部連携・API設定のメニューを開き、MCP関連の連携設定が表示されるか確認する。提供状況はプランや時期によって変わることがあるので、まず管理画面で見当たるかを確認するのが早い。
  2. 連携を有効化できたら、Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json)にMCPサーバーの接続情報を追記し、Claudeを再起動する。
  3. Claudeのチャット画面で、マネーフォワード関連のツールが選択肢に出てくることを確認する。

もしMCP連携がまだ使えるプランでない場合は、試算表をPDFまたはCSVでエクスポートして、Claudeのチャットにそのままドラッグ&ドロップするだけでも同じ分析はできる。実際に自分は両方のやり方を試したが、結論から言うと「原因は自分で追うしかない」という着地点は変わらなかった。

実際にClaudeに試算表を読ませてみた

まずはシンプルに聞いてみた。

「先月と今月の試算表を比較して、増減が大きい勘定科目を上位5つ教えて。増減率も出して」

これは数秒で返ってきた。外注費が前月比+18%、旅費交通費が+9%、雑費が-12%……というように、金額と増減率がきれいな表で出てくる。今まで自分の目でExcelを見比べていた時間を考えると、これだけでも十分価値があった。

次に踏み込んで聞いてみた。

「外注費が増えている理由を、仕訳の摘要欄の記載から推測して」

ここでClaudeは仕訳の摘要に書かれている文字列から「特定の外注先への発注が複数件増えている」という推測までは出してくれた。ただし、それが「新規案件の受注が増えたから」なのか、「単価の高い外注先に切り替えたから」なのか、「本来は先月に計上すべきものが今月にずれ込んだだけ」なのかは、AIには判断がつかない。

推測は出るけど、断定はしてくれない。まあ当然か

実際、このケースを自分で確認したところ、繁忙期に対応するため一時的に外注を増やしたことが原因だった。これは社内の稼働状況を知っている人間でないと分からない話で、試算表の数字だけからは出てこない

経営会議で使えるようになったこと・ならなかったこと

使えるようになったこと

  • 前月比・前年同月比での異常値の一次スクリーニングが数秒で終わる
  • 「経営会議で聞かれそうな数字」をあらかじめリストアップしておける
  • 毎月同じプロンプトを使い回せるので、属人化していた「試算表チェック」が誰でもできる作業になった

結局、人がやるしかなかったこと

  • 数字の変化の背景にある事情(繁忙期対応、単価交渉、計上のタイミングのズレなど)の特定
  • 「本当に問題のある変化」と「一時的で気にしなくていい変化」の見極め
  • 経理担当や現場の人に確認しに行くという、いちばん面倒な工程そのもの

まとめ

  • マネーフォワードとClaudeを連携させる(またはCSV/PDFを読み込ませる)だけで、試算表の異常値を数秒で洗い出せるようになった
  • ただし「なぜその数字になったか」の最終的な原因究明は、社内事情を知っている人間にしかできない
  • 明日からできることとしては、まず試算表をPDF/CSVでエクスポートしてClaudeに読み込ませ、「増減の大きい科目トップ5」を聞いてみるところから始めるのがおすすめ
  • 数字を洗い出す時間が減った分、浮いた時間を「なぜ」を確認しに行く時間に回せるようになったのが、いちばんの収穫だった